中平穂積 写真展
「JAZZ GIANTS 1961-2008 」
at Gallery Touou
2009年2月10日(火) ~ 3月8日(日)

写真家 中平穂積さん
1936年 和歌山県本宮町生まれ。 県立新宮高等学校、日大芸術学部写真学科卒業。
1961年 アート・ブレイキーの初来日を撮影。以後、ニューヨーク、ヨーロッパのジズシーンを取材。
1962年 新宿にジャズ喫茶「DUG」
1967年 新宿紀伊国屋裏にJazz Bar「DUG」を開店。現在まで、日本のジャズ文化の担い手の人として活躍している。 写真集・代表作に「JAZZ GIANTS 1961-2002」「新宿DIG DUG物語・中平穂積読本(高平哲郎編)」がある。
♪
写真家 中平穂積さんインタビュー
/ 2009.2. at Gallery Touou / Interview akemi / Pnoto by kyousui Ogawa
編集:以下編)はじめてカメラを手にされたのはおいくつの時ですか。
中平:以下中) 中学の頃ですね。その頃親父にコダックのボックスカメラみたいなのをもらって撮ったのがきっかけです。高校の時に写真部に入って本格的に写真に興味を持って、写真の大学に行こうと思いましたね。
編)ジャズミュージシャンを撮影するようになったきっかけを教えてください。
中)自分でジャズの店をはじめるのに店に飾る写真がほしいなと思ったのと、大学時代毎日のようにジャズ喫茶に通っていて、ジャズミュージシャンの写真がほしいなとずっと思っていたものですから、それで撮り始めたんですよね。
編)レンズを通して観る世界はどんなふうに見えますか?
中)そうですね、よく聞かれるんですけど、写真を撮っていると、音楽が耳に入らないんですよね。コンサートに行ってずっと写真を撮っているとどんな曲をやったかが耳に入らないんです。だいたい撮影時間は最初の10分とか決められているので、あとは聴いています。例えば、2日間あると、最初の1日目はカメラを持っていくけれども2日目は絶対カメラを持っていかない。持ってるとどうしても気になるんですね。
編)中平さんの写真を拝見していると「想い」とか「音」が聴こえてくるような素晴らしい作品ばかりだと思うのですが、撮影の際に心がけていらっしゃることはありますか。
中)音が聴こえてくるような作品と言ってもらえるのは一番嬉しいですね。その人をよく知っていないと写真は撮れないといいますか、僕が学生の時に唯一教わったのは、人物を撮るときにはその人についてよく勉強してから撮らないとなんの意味もないよと言われたのを覚えていますね。要するにシャッター以前。よく言われましたけど、シャッターを切る前によく考えて撮る。その人のことを何も知らないで撮るんじゃなくて、その人はどういう人なんだということを知って撮った方が、よりいい写真が撮れるんじゃないかと、僕もそう思いますし、それは心がけるようにしてますけど、まぁ、なかなかそうはいきませんけどね。
編)ジャズの魅力とはなんだと思われますか。
中) 僕にとってはジャズは日常的なものなんで、特に意識したことはないですね。
編)1961年アート・ブレイキーの初来日を撮影されたそうですが、アート・ブレイキーを目の前にしたときはどんなお気持ちでしたか。
中)そうですね、日本に来たはじめてのグレイトなミュージシャンで、何日間かコンサートがあったけれども、全部チケット最前列を予約しましたね。最初に緞帳が上がった時は感動しちゃって、目の前に憧れのミュージシャンがいるわけじゃない?アート・ブレイキーだけじゃなくて、リーモーガンとかもいて、涙がどんどん溢れてきて、撮れなかったですね。足も手も震えるしね。そういうことはアート・ブレイキーに限らず何度もありましたけどね。慌てちゃうんですね。
編)40年間、多くのジャズミュージシャンを撮影されてこられて、今だから思うことや感じていることはありますか?
中)好きなミュージシャンは追いかけてたくさん撮っているんですけど、ジャズの歴史のなかでも重要な位置にいる人なのにあまり写真撮ってなかったりする方も多いんで、今思うと自分でももっとちゃんと撮っておけばよかったなと思いますね。
これからも続けるんですかとよく聞かれるんですが、僕はジャズファンですから、ずっと写真を撮っていると聴けないから、なるべくやめたいですね。やめたいといっても写真が嫌になってやめたいっていうんじゃなくて、聴きたいんですね。リスナーにまわりたい、ジャズファンに戻りたいというのが、本音ですね。
編)中平さんにとってジャズとは何でしょう。
中)日常ですね。一日一回ジャズを聴く時間があると幸せだなと思いますね。その時にホッと落ち着ける。最近はCDが多いけど、うちにいる時はなるべくLPを聴くようにしてますね。
編)このインタビューを読んでいる方々へのメッセージをお願いします。
中)最近はレストランだとか有線放送などで耳にする機会が多く、耳慣れていると思うんだけど、ともするとジャズは難しいからとか、俺はよくわかんねんだとか、大人でも言うじゃないですか。 自分がいいと思った瞬間にジャズを理解しているわけですから、あえて難しいジャズを探して聴く必要はないし、何枚かCDとかラジオとか聴いていいなと思ったら、それを調べてその人の CD を聴いてみるとか、僕らもそういうふうにしましたけどね。だから決してジャズは難しいものでも何でもないし、いろんなジャンルがあるから自分に合った音楽を聴けばいいと思います。
でも一番薦めたいのはジャズに限らず音楽は現場なんですね。ライブに勝るものはないんですよ。ミュージシャンと話をする機会があったり、あるいは、そこに来ている仲間とジャズについて良かったねって話しをしたり、感動を分かち合ったり、一人でCDを聴いているよりは全然いいですね。
僕は昔からレコードファンというよりはライブファンなんですね。だから外国でもどこでも出掛けていきます。 だからあんまり写真を撮ることに夢中になってると耳に入ってこない。それはもう、ずっと前から気が付いていたんですけど、だからなるべく、2時間のコンサートだったら最初の20~30分で写真はやめてカメラは鞄にしまってしまいます。やっぱり音楽は聴くものですから。
僕はジャズに限らず芸術をそんなに難しくは考えていないので、身近においておくことが一番理解できるし親しめると思いますね。
編)では最後の質問です。Jazzから連想する色は何色ですか。
中)色?そうですね、色はどうなんでしょう。ジャズって 暗いとこで演ってる印象があるけど、僕はそんなに暗いものではないと思います。しいて言えばワインレッドかなぁ、色を考えたことはないけど、どっちかっていうと暗めの赤かなと思いますけどね。というのはやっぱり、血だとか、ちょっと生々しいけど、そういうものを感じるかな。
編)ありがとうございました。
